報告が後れましたが、5~6月に「子ども」と「遊び」が分かる!子どもたちが豊かに遊び育つための環境づくりについて学ぶ連続講座ということで『プレイワークはじめて講座』を実施しました。講師はたねの会理事でプレイワーカーの関戸博樹さんです。
5月21日(火)、第1回目の座学のテーマは『子どもを見守る多世代コミュニティづくり』でした。
まずは、子どもの「遊び」を考えるワークからスタートしました。4~5名ほどのグループになって自分自身の幼少期、子ども時代を思い出しどのように遊んでいたのか、どんな環境だったのかなど、自身の懐かしい思い出を共有する時間でした。そこから今の子どもたちの環境についての考えを出し合うと、昔と比べて何かと制限されて遊んでいるよなぁ、もっと自由に遊べたらいいのにといった意見が多く見られました。
続けて、子どもはなぜ遊ぶのか?を考えました。「楽しいから」「スリルを感じたかった」「ストレス発散」「好奇心」といった様々な考えを共有しました。また、脳の発達と「遊び」の関わりについてのレクチャーもありました。遊びの持つ意味から、子どもの気持ちになって考えることやコミュニティの重要性を改めて感じました。
次は「遊び」を感じるワークということで、2人1組になってお互いに順番で似顔絵を描きました。大人になってお互い顔をじっと見る時間というのがなんともいえない恥ずかしさ。相手の顔をしっかりと描かなくちゃなんて考えていたりします。そこには緊張感が生まれていたのです。次に利き手ではない方で描いてみると、なかなか上手く描けずに、一生懸命に描いているけど笑顔が自然と出てくるようになっていました。結果的に顔とは言えない出来であっても、緊張感がなくなり大人でも楽しめ、遊びには緊張感が必要ないということを実感するとても楽しい時間でした。
次に、現代の「遊び」環境や社会背景について考えました。
2026年の予測では、子ども(15歳未満)1人あたりに対する大人の数9.96人
「私は価値のある人間だと思う」の国際比較で日本は10%も満たない現状である。(米57%中42%韓20%)
といったデータから、どんな遊びの環境が必要なのかを考えます。
大人と子どものナナメの関係をつくる。肩を開くコミュニケーションなどを通して、世代を超えた人間との関係をより密に保ち、どんな場面でも子どもたちをサポートできる関係性をつくることの大切さを学びました。そして何より大人も楽しむことが必要!明日からでも楽しむことを意識して子どもと関わり、そして見守っていこうと思いました。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
6月18日(火)第2回目の座学のテーマは『乳幼児~中高生までの様々な子どもへの関わり方』でした。
子どもにとっての「遊び」はとても大事ではあるけれど、100%遊びを尊重すると、生活が成り立たないという場面も多々あります。教育/子育て/社会規範のレンズがありますが、遊びのレンズにかけかえることで子どもへの寄り添い方が変わる、というお話しでした。
続いてプレイアセスメントについての説明を聞きました。
①ツボ play types→何を楽しいと感じるかはその子次第、人それぞれである。
②枠 play framework→子どもによって越えたら違うと感じるラインがある。たとえば水鉄砲でかけることを楽しむ子ども、しかしかけあう過程で発射した水が顔面に、、、いきなり怒ってしまうなどという場合。何度か経験したことあるなと思いながら聞いていました。
③キュー play cue→その子にとっての安心できる遊びへの入り方のこと。一般的なもので言うと子どもの「入れて」という遊びの導入がこれにあたります。子どもから、また環境物からのキューもあるそう。普段気にしない部分、子どもの遊びの入り方を観察して見てみようと思いました。
次は、「寄り添うワーク邪魔するワーク」という楽しい実践の時間でした笑。
「まずは邪魔してみましょう。」
2人1組になり1人が遊ぶのをとことん邪魔をします。「こうじゃないよ、そうでもないよ、もう貸してみ。」おもちゃを奪ったり、「今そうやったから、次はこうね、その次はこうやるの。」何をするべきかいちいち指示したり。なんとなく嫌がる子どもの気持ちが分かったような気がします。手を出したがる大人の気持ちも。
邪魔した後は打って変わって寄り添ってみます。遊び、していることに対しておもしろがる、成り行きに付き合う、頼まれたときだけ手伝う。このような実践から、寄り添うときには何かをすること、何もしないことの2つの方法があることを学び、それから子ども自身の持つ力を感じられるようになるために、SLLRP(Stop/Look/Listen/React/Playwork)を意識することが大切と学びました。
立ち止まり(Stop)、何をして遊んでいるのか見て聞いて(Listen/Look)、反応する、行動に移す(React)、それがPlayworkだ。
最後に、年齢別の関わり方(乳児期~高校生)を関戸さんが関わってきた実体験を交えながらその特徴などの観点から説明をお話ししてもらいました。(スライドショーで写真を見ながらのお話で個人的にはとても心に響きました!!)
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
6月28日(金)連続講座最後は現場に実際に出て行う『屋外での遊び環境づくり』でした。
まずは五感について2人1組になって視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚それぞれに思う意見を話し合いました。
「幼少期に人形抱いていないと眠れなかった」「やっぱり初めてのことには視覚、聴覚、嗅覚フル活用だよね」
人間は一番初めに発達するのは味覚だという話になったときに、受講者の赤ちゃんが指しゃぶりしてる姿に「たしかにー」などとなり、様々な意見を交換できる時間でした。
続いて、現場を使って泥山、段ボール、しゃぼん玉の3つを使って実際に遊んでみました。
小雨が降る天気にもかかわらず、いつも通り遊びに来てくださった親子は、いつもと違って大人が集まって遊んでる姿に多少の驚きも感じているようでしたが、そこに交じって楽しみ、それぞれ自由に遊びました。大人が遊ぶことで遊びの可能性がどんどん広がっていったこと、1人で遊ぶけどみんなでいることでほっとした気持ちになるなど、いい経験になったと思いました。何かを作ろうとしたわけではないけど、結果的にとても面白かった、と子どもの時の気持ちに近いところを実際に経験できていい時間だったと思いました。
泥山エリアでは、泥団子を作ったり、土器のように固めて形を作ってみたり、ゆっくりした遊びから会話も生まれたり。振り返りでは、大人数が苦手な人や、集団の輪に入れない子どもの気持ちが分かった、など新たな発見も楽しむ受講者の姿がありました。
ここで重要と感じたことは、大人も含めて遊ぶこと。その遊びも楽しめるように子ども自身が「第一発見者」になること。
子どもが自由に、好きなように遊べるように任せること。それがプレイパークの存在意義と結び付くように思いました。
今回の講座で感じたこと、学んだことを今後に生かしていきたいと思います。
(文:大隅文彦(ぶんぶん))